|
私もよく、不要な書類と必要な書類の整理の相談を受けることがあります。すでに返済が終わって、抵当権の抹消登記も済んだ書類だとか、相続した土地の何代も前の所有者の権利証であるとか、何かあったら大変とばかり、なんでもかんでも保管されているケースがあります。
確かに、過去の記録としては意味を持つものもありますが、ほぼ「記念品」の意味ぐらいしかなく、登記手続上は今後も必要なく、かえって、まぎらわしいといった書類も多く見受けられます。一度機会をみて整理をされればよいと思いますが、ここでは「権利証」と「登記簿謄本」との違いについてご説明しましょう。
「権利証」=法律上は「登記済証」といいます。
専門的には、「登記権利者として、権利の取得の登記を受けた際、または、所有権の登記のある不動産の合併・合筆の登記を受けた際に、申請書に添付した原因証書または申請書副本に登記済の記載がなされ、登記所から還付を受けたもの」と説明されています。
つまり、所有者の方が「売買」や「相続」等によって権利を取得した際に、司法書士から返却を受けた、登記の「受付年月日」と「受付番号」に、名刺大の朱色の「登記済」のはんこが押された「不動産売渡証書」とか、「登記申請書」といったタイトルの書類を指します(取得時期や申請の形式により異なる場合がありますが…)。
下記参照
ちなみに、不動産を分割・分筆しても、売却や担保設定登記に必要な権利証は、分割・分筆前の元の権利証ですし、合併・合筆されて、新たに権利証が作成されていても、合筆前の個々の不動産の権利証をすべてそろえれば、合筆後の権利証として利用できます。
「登記簿謄本」または「全部事項証明書」登記簿の謄本は登記簿に記載してある事項をコピーして登記官が認証したものを指します。 また最近では各法務局のコンピューター化が進み、登記簿謄本に代わって「全部事項証明書」が発行されていますが、これは従来の「登記簿謄本」と同じものです。ただし、いずれも「権利証」とは全く異なる
ものですので間違わないようにしてください。

|