定期借地権に関するQ&A
弁護士 宮崎 祐二

 

Q19

地主が定期借地権の契約を解除できる場合としては、どのようなことが考えられますか。

 

A19

 まず、借地人が契約をしてからいつまでたっても借地上に全く建物を建てない場合で、定期借地権の目的そのものが失われたとみなすことができるからです。
次に賃料不払いも、借地人にとってもっとも基本的な義務を怠るわけですから、解除事由となります。
但し、2、3か月程度の滞納で地主による解除が認められることはまずありません。
それによって建物を取り壊すことによる経済的損失があまりに大きいからです。
 かといって、契約書に6か月以上怠った場合に解除できると記載してしまうと、賃料の滞納を助長することにもなりかねず、契約書上は一応3か月とする方がよいでしょう。
なお、借地人もうっかり賃料の支払いを忘れている可能性もあるので、チャンスを与えるためにまず、1週間以内に支払いなさいという催告をしたうえで、それでも支払わない場合に解除するという二段構えが必要です。
この他に解除事由としては、借地権の無断譲渡や、当初約束した建物(たとえば居宅)と全く異なる用法の建物(たとえば工場)を建てた場合などが考えられます。
いずれにせよ、形式的に違反があるかどうかということではなく、実質的にその事柄により地主が借地人に対する信頼関係を裏切られたかどうかということで決められることになります。