敷金とは、借地契約に由来する未払賃料などの地主の損害を担保する預託金で、借地人がこの敷金を返還してもらうのは、借地契約終了後、原状回復による土地明渡が済んだ時点において、それまでに発生した借地人の地主に対する債務を控除した残額について、認められるものです。
借地契約に由来する債務としては、賃料の他に、建物取壊費用、土地の原状回復費用などがありますから、借家の場合と比べてある程度高額になることは否めません。
しかし、現在の定期借地権設定の際に支払われるものは、更地価額の1割ないし3割と高額に及ぶことさえあり、以上にみた敷金の性格だけでは説明がつかないもので、これを保証金といいます。
なるほど契約書上では、敷金と同様に借地人の賃料などの債務を担保するためとは書かれているものの、その金額の大きさからすると単なる損害担保としての敷金的なものにとどまらず無利息返還に鑑みると、実質賃料の補填の内容をも含んでいると考えざるをえません。
実際上、田畑などを宅地化するための造成費用として、この保証金を使うことにより、地主は借金をしなくてよいという経済的メリットがあるからです。
敷金であれば、たとえば地主が変更した場合には、新地主に敷金の返還義務が承継されるという最高裁判決の適用がありますが、保証金ではそのような先例がないために、必ずしも同様に解釈されるとは限りません。
そこで、定期借地権設定契約書には、できる限り地主・借地人の保証金の承継関係も明示しておくことが必要です。
なお、保証金は敷金と比べて金額が大きいことから、借地人の権利保全のため、この保証金返還債務の担保として、土地に対して第1順位の抵当権が設定されなければなりません。
ところで、敷金や保証金はいずれも土地の明渡により、ある程度借地人に返還されるわけですが、一切返還を要しないものもあります。
これが権利金ですが、地主にとっては税務上一時所得とされることから、今のところはあまり利用されていません。
しかし、いわゆる地上権方式の場合には、この権利金が支払われると思われます。
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