濱本 満の個人情報
モーターホームで移動するアラスカの釣り場

(2)

 
さあ!ブレーキペダルを解除し、おっかなびっくり出発である。おそるおそる一般車道に飛び出し、軋むような取付家具の音に気を奪われながら、ショッピングセンターへ買出しに出かける。さすがアラスカは広く、車もまばらなため、余袷をもって運転できる。駐車場も広い。ショッピングセンターも広いが、同じ物ばかり並び、ろくなものが無く、値段も高い。適当に買出しして、1号 線を、キナイ半島の釣り場目指してよたよた走る。景色はさすがアラスカである。夏というのに、山は低いにもかかわらず氷河と残雪に覆われ、氷触されて峻厳である。沿道には、ヒッチハイクするバックパッカーが多く走りづらい。ヒツチハイカーを拾えずごめんなさい。それどころでないのです。 
途中、釣具店で、ルアーと小物を仕入れ、釣りライセンスを取得し、さらに道端で燃料用薪を仕入れる。 車は、−路キナイ半島を南下し、半島中央部ロシアンリバーのRVステーションへ到着する。この場所はかねて友人から聞いていた釣りポイントである。ゲートで一泊10ドルの使用料を支払い、指定されたリバー近くのキャンプサイトに駐車する。少々遅くなったので、今日は釣りをあきらめ、食事の支度にとりかかる。キャンプサイトには、専用の炉とテーブル椅子が設けられているが、夏といえ、さすが底冷えし、蚊が多いので、車内で調理・食事する。 
次の朝、早速ロシアンリバーヘ出動する。カウボーイハットにゴム性の釣り衣装に身を包んだアングラー達が挨拶しながら通り過ぎてゆく。みんな一様にさまになり、長い足が格好いい。それにくらべ、我々の姿かたちは珍妙である。川は、幅10mほどで狭く、水深も深いところで太ももあたりにしかすぎないが、なにせ氷河が凍解したしろもので、きわめて冷たく、ものの5分も浸かっておれない。しかし、瀬の中ほどに行かなければ、釣れない。川の中は、婚姻色のサーモンが遡上していくが、オスは見えず、聞いていたほど多くない。聞いた話だと、ごつごつ足にあたるほどだという。今年は少ないのであろうか?、それともシーズン外れなのだろうか?しかし、瀬の中ほどで釣っている人は、7〜80cmのシルバーサーモンをオスばかりどんどん釣り上げ、体中にぶらさげ、移動してゆく。岸から釣る我々には当りがない。長男は、ズボンをたくし上げ、我慢しきれず瀬の中ほどに突っ込んでゆく。さすが瀬の中ほどは違う。たちまち、ヒットさせ、格闘している。しかし、相手はつわものである。たちまちラインは切られ、続いてヒットするも又切られる。要するにラインが細すぎるのである。次男は、水の冷たさに辟易し、下流部に移動し、日の下に憩うメスを引っ掛けている。これまた、引っ掛けては、走られ、切られを繰り返している。かくいう私は、二人の息子の間を行ったり来たり、時に呆然と川を見つめ、溜息ばかりついている。かくして、今日のおかずは、ゲットできなかった。




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mituru hamamoto