借家経営と管理
宅地建物取引業 渡辺 俊

 

T住宅指向と入居需要

まず昭和43年以来、住宅ストックが世帯数を上回って行く事を認識しなければならない。 つまり質はさておき、ストックが入居需要を上回る傾向は続いて行くでしょう。少ない入居者の需要を新築住宅や中古住宅の分譲業と、民間や公営系、借家系住宅で奪い合う事になっています。 持家に比べ借家に満足感が無ければ持家趣向は今後も続くでしょう。

老朽貸家、文化住宅、アパート、マンションの建替方策の検討についても、既存の借地借家法の正当事由として建物の老朽化等への対応も考える必要があります。 (定期借家権、平成12年3月1日施行…‥次回号!!)

借家経営の安定化について、借手市場の中で厳しい経営環境を強いられており、家主の経営意欲は衰退しつつある中、安定化させる為の具体的、目的、目標を定めましょう。 一般的には土地活用の有効利用による収入の増加、相続税対策に基づき、更地の評価下げ等、はっきりと確認する事でしょう。

借家契約でのトラブルの中で最も多いのは退去時に於ける敷金の精算や原状回復費用の負担に係る苦情です。 明け渡し時の原状回復の費用負担について、業者は貸手側に立った考え方ですが、契約書の内容、特に特約事項から見ても貸手側に有利に作成されています。 契約段階で原状回復に係る契約条件の内容を透明にし、当事者が相互に理解しておく事が重要です。

原状回復の留意点は

※壁や床の汚れ、破損や修繕費用は誰の負担になるか。
 →通常の使用、住まい方による自然損粍による損粍。
 ……貸主負担。
 →故意過失によって生じた損耗。……借主負担。

※契約時に項目別に負担の[区分・分類]を明確にする事です。
 →区分・分類表は業者に有ります。

※退去時に入居時の状態に戻す事は無理が有ります。築年数
  や部屋の状況、入居期間、入居家族数で損耗が異なります。

※入居から退去、精算まで一貫した媒介と管理が必要と考えら
 れます。


最近は原状回復におけるトラブルは少なく無く、少額訴訟制度では簡易裁判所へ行けば即決で判決をくれる事になっています。

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