定期借家の法律Q&A
弁護士 宮崎 祐二

 

Q1

定期借家制度が設けられた背景は何ですか。

 

A1 これまでの借家(これを「普通借家」といいます)では、家主がいったん借家人に家を貸すと、当初の契約期間が満了しても、無償で借家の返還を求めることは事実上できませんでした。家主が借家の返還を求めるには「正当事由」が必要とされていますが、裁判所で「正当事由」が認められることはまずなかったからです。そこで、家主の方がどうしても借家の明渡しを求めたい場合には、莫大な立退き料を支払わなければならず、そのような危険の少ない狭い借家が供給の中心となっていきました。しかし、それでは借家人のニーズを満たさないし、家主の方も使わない大きな家を遊ばせておかねばなりません。そこで、良質な借家の供給を促すために、「正当事由」が不要な定期借家制度が設けられたわけです。