定期借地権上の建物が一戸建ての場合とマンションなどの共同住宅の場合とで根本的に異なることは、借地人が単数か複数か、ということです。従って、借地人が地代不払などをした場合に、一戸建てであれば借地契約を解除することで解決が図られますが、マンションの場合は借地人の一人が地代の不払いをしても、その一人だけを解除するわけにはいかないということです。
つまり、1つの敷地上に借地人が複数いる場合には、借地契約を解除するために借地人全員について解除事由が発生し、その全員に対し同時に借地契約を解除することは可能ですが、借地人の一人又は一部に対し解除することは出来ないのです。
これを解除不可分の原則といいます。
従って、借地人の一人に地代不払などが発生したときには、解除に代わる方法を決めておかなければなりません。
そこで、このような場合には地主に借地権を強制的に帰属させるような条項を契約書に入れておくことが良いと思います。
地主自ら借地人になる、つまり自己借地権を取得するわけで、これは今回の借地借家法で認められています。
もっとも取得した借地権の価値が、未払いの地代などと比べて高すぎる場合には、清算金を支払う必要もあり得るので借地権の評価の仕方や清算金の支払の手続なども契約書に書いておかなければなりません。
この他にQ21で述べているとおり、原状回復義務の範囲を詳細に決めておくこと、又管理組合の規約で原状回復費用積立金なども定める必要があることなど、一戸建てと比べてより複雑な集合住宅の問題が数多くあります。
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