土地を売却する場合の税金は?
公認会計士 増田 進

 

Q1

相続によって取得した土地を売却した場合に、譲渡所得の課税の特例があると聞きましたが、その内容を教えて下さい。

 

A1

相続税の申告期限の翌日から3年以内に売却した場合に、譲渡所得の計算上、相続税額の一定額を取得費に加算できます。言い換えれば譲渡益から相続税額のある部分を控除してくれるというわけです。
 相続税が発生している時ですから、もともと相続税のない人、たとえば相続税の配偶者の税額軽減特例を受け、相続税額がない配偶者にはこの特例は関係がないことになります。また譲渡益が発生している時ですから、被相続人が高く買った土地などで、もともと譲渡益のない土地でしたらこれも関係がないことになります。
 譲渡益から控除できる相続税額は、相続税額の全部ではありません。取得された全相続財産に対する土地等の割合となります。たとえばA土地とB土地を取得した場合で、A土地を売却する時にでもB土地に対応する相続税額も含めて、A土地の売却時に売却益から控除できるというわけです。
 このような結果、相続後の物件売却時の譲渡所得税がこの特例を受けるかどうかで大きく異なる場合があります。

この財産に対して相続税が2,000万円であったとします。

A土地を3,300万円で売却した時の税金は
次のとおりです。
(3,300万円×95%−100万円)×26%=789万円

この特例を使った場合の税金は次のようになります。

取得費に加算される金額
相続税2,000万円×(A土地3,000万円+
B土地6.000万円)÷財産合計10,000万円=1,800万円


税金の計算
(3.300万円×95%−1.800万円−100万円)×26%
=321万円

この場合は468万円の税額の差となっており、売却価格を少々落としてもこの特例を使った方が手取り額が増加します。

 

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