定期借地権地代の決定理論T
不動産鑑定士 濱本 満

 

1.はじめに

定期借地権地代は、供給者・需要者サイドの合意で自由に取り決めることが出来ます。
つまり、需給関係によって決定されるということです。
 といっても、定期借地権取引センター(将来こうした機構が出来るかもしれませんが)に陳列して、買手が見て回るという訳にもいきませんし、いい加減な値付けをする訳にもいきません。
 又、定期借地権の解説書やコメントに書かれているように、だいたい地価の…%程度であるというような根拠の希薄なものであってもいけません。
 定期借地権の供給者は、大切な土地を利用したり、売却したりするについて思案し、利用するについても様々な方法を検討しています。
 利用方法の一つとして、定期借地権があるのですから、その他の方法との比較により、デメリット・メリットを考量する必要があるのです。
 定期借地権を選択するか否かの判定基準として地代等があります。
地代等をどのように定めるか考えなければなりませんが、あくまで地代等は需要者が受容できるもの、つまり需要が生じるものでなければなりません。
 一方、定期借地権の需要者は、土地を購入して建物を建設するか、定期借地権で建設するか、又はその他の方法によるか検討しています。
 建物建設の方法の一つとして、定期借地権があるのですから、その他の方法との比較により、供給者同様、デメリット・メリットを考量しています。
 定期借地権を選択するか否かの判定基準として、需要者にとっても地代等があるのです。
 この定期借地権地代は、供給者・需要者サイドの受容地代(あるいは思惑地代といってもよさそうですが、後で詳しく説明します。)が均衡するところで決定されるということで、以下の通り定期借地権地代の決定理論を展開することとします。
 尚、需要者が建設する建物は、定期借地権であれ、購入土地であれ、同様の負担において行われるのですから考慮する必要がありません。
 又、土地の公租公課は変動しますので、これを地代から除き、純地代としての地代を検討します。
実際の地代は純地代に公租公課実額を加算したものです。
当然この公租公課は購入土地についても同額負担しなければならないのですから、考慮する必要がありません。

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