◆ 破産って何 ◆


 破産の件数が増えつづけています。平成2年には1万件台だったのが、平成10年には10万件台に突入し、その後も毎年10万人以上の人が破産申立をしています。このままでいけば、10年間で、日本に住む人の100人に1人が破産者ということになります。破産は今や、ありふれたことの一つになりました。
 それだけに、以前と比べれば、一般的に破産というものへの抵抗感は、随分薄まってきたとは思います。しかし、それでも破産に対する誤解から、破産にふみきれない人々が多いことも事実です。


 破産に対する誤解で最も多いのが、選挙権がなくなるというものです。
もちろん、破産しても、選挙権も、被選挙権も失いません。次に多い誤解が、破産すると戸籍にのるから、本人や子供、親戚までもが結婚に差し支えるというものです。けれども、ご心配なく。戸籍にのることはありませんから。ただし、本籍地の市役所等へ連絡は行きます。というのも、公的な資格を取得するときに、破産等になっていないことの証明(これを身分証明といいますが)を役所にしてもらうためです。
 破産すると、家財道具を全部差し押さえられてしまって、その日から生活ができなくなると思っている人もいます。けれども、衣服やベッドや洗濯機、冷蔵庫等ほとんどのものは、いわゆる差押禁止動産といって、破産になってもその権利を奪われることはありません。また、これにあてはまらない家財道具でも、現実的には、破産管財人から低価格で買うことで、今までどおり使うことが可能です。
 このように破産は一般的になってきましたが、その一方で、安易に破産を考える人も増えてきています。特別の事情がないのにサラ金等から借りまくって生活し、返済できなくなれば、破産することによって借金がなくなるんだからそれでよいというような考えが蔓延すれば、モラルハザードが起こってしまいます。
 それに、破産宣告を受けただけでは、借金の返済義務はなくならないのです。借金の返済を免れるためには、免責決定を得る必要があります。たとえば、専らギャンブルや飲食等の遊興費のために借金したとか、財産を隠していたとか、年齢、職業等を欺いて借金したというようなケースでは、免責されないこともありますので、破産申立すればいつでも借金を免れるというわけではありません。
 そして、免責決定は原則として1回しかできません。免責されてからまた借金を重ねて、再度借金をチャラにして下さいということはよほどの事情がない限りできないのです。このようなことも一般的にはよく理解されていないところでしょう。

 

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