相続によって取得した土地は、被相続人の取得日を引き継ぎます。つまり税法上はこの土地を相続の日に取得したものとはされません。また取得価格も引き継ぎます。(限定承認した相続については、相続時にその時の時価で取得したことになります。) このため相続時に取得した土地が表面的には同じ価値のA土地とB土地であっても、その後売却した場合の所得税が異なる場合があります。たとえばA土地は被相続人が昔から持っていた土地であるが、B土地はバブル期に高値で購入した土地の場合、それぞれを売却すればA土地の場合は所得税が生じます。反対にB土地の場合は譲渡損が生じ、給与所得等がある場合は還付が受けれるということもあります。相続ではこのような
ことも考慮して財産分割を考えればいいでしょう。1月1日現在で5年を超えて所有している土地なら長期となり、5年以下なら短期となり、譲渡所得税の税率が長期と短期でまったく異なります。例えば譲渡所得6千万以下なら長期は所得税住民税合わせて26%であり、6千万円超であれば32.5%ですが、短期なら52%(所得によってはそれ以上になる場合がある)にもなります。
ほとんど懲罰的とも言える短期に対する高税率ですが、近年の土地価格の下落を考えれば短期で大きく利益を上げる人がいるのでしょうか。
しかし次のような時には短期の税率となります。
あなたが投資のために中古マンションを3千万円で購入した後、セカンドハウスとして利用し、値上がりも見込めないので3年後に同額の3千万円で売却したとしましょう。一見売却益はない様に見えますが、建物は減価償却費相当額を取得費から減額しますので、売却益が計算されます。
短期に重課をかけるのは土地の異常な値上がりを意識したもので、土地価格がおだやかに推移して行き、上昇する時も下落する時もあることを前提にすれば、5年で区切って5年前と5年彼の税率を大きく変えることの合理性はありません。かえって不動産流通を阻害しているのではないでしょうか。
税制改正が望まれます。なお法人の土地譲渡益に対する追加課税制度は適用されなくなりました。
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